真白さんの魔法


二人の光に包まれて、俺は気を失っていた。

気が付けば学校は跡形もなく消えていた。

焼けた臭いも何もない。

ただ地面がはっきりと見えるだけ。

本当に、何もなかった。


「……」


俺は何も言えず、ただ空を眺めた。

暗い雲が大地に光さえくれないようだ。

嫌な予感しかしない。


「いたぞ! この学校を燃やした犯人だっ!」


急に聞こえてきた騎士達の声に反応すら出来なかった。

だからか、騎士が俺に剣を向けている事にも気づけなかった。


「真白だな。お前がやった事だと証人している者がいる。来てもらうぞ」


俺は騎士の一人に顔を向ける。


「なんだその被害者面はっ!? 貴様がした事だろう! 自分が完璧なら、屑な奴らは死んで当然だと言ったのは! 貴様なんだろうっ!」


違う、俺じゃない。

俺は自分以外の人間をそんなふうにはみていない。

騎士達は泣いていた。

あぁ、きっと子供がいたんだな。

可哀想に。

出来れば俺も死にたかった。


「立て! 貴様は監獄行きだ!」


騎士から腕に付けられた手錠がやけに冷たくて、背筋がぞっとした。

俺は罪人扱いだ。

何もしていないのに、敵の身代わりになっている。

もう、どうでも良い。

殺すならそれで良い。

俺はもうなにも見えない――。