「由紀、俺の事は気にするなと言っただろ」

「真白さんがそう言っても、私は気になるんです! だって真白さんは私の……と、友達だから!」


勇気を出して、私は真白さんの手を掴んだ。

思いが届けば良い。私を拒絶しないで欲しい。

私は真白さんに笑って欲しいんだ。


「……まったく、君には負けるよ」


そう言った真白さんは困った様に眉を寄せて笑っていた。


「真白さんっ!」

「どうせ、俺が何を言ってもつきまとうつもりなんだろ? なら、教えてやるよ。俺の事を――」


真白さんは顔を私から空へと移した。

そして腕を上げて空を指差した。


「俺は、あの空の向こうから来たんだ」

「空の向こう?」

「あぁ。この世界からすると天界って事になるか」

「天界……えっ!? 真白さんって死んで……」

「ない。俺はその天界の魔法使いが住む街にいたんだ」


私は余りの出来事についていけない。

けど、この話は紛れもない真実。

真白さんが嘘を付くわけないもの。


「真白さん、全部話してくれますよね?」

「あぁ。君がそう望むなら俺は全てを話そう」


目を瞑っている真白さんの声は、風の様に透き通りながらも、私の胸にはしっかりと響いている。

真白さんが全てを話すなら、私も覚悟を決めなくちゃ。

私は真白さんの目をしっかり見つめた。


「お願いします」

「……わかった。俺はこの下界に進んで来たわけじゃない。天界から落とされて来たんだ」


真白さんはゆっくりと話始めた。