真白さんの魔法


学校から商店街に住宅地……色んな所をぐるぐる回ったけど、真白さんの姿はない。


「なんで見つかんないんだろう。魔法で透明人間にでもなってるのかな?」


あり得ない話じゃないよね。

だって真白さんは魔法使いだもん。

きっとなんだって出来るはず。


「はぁ……」


私は公園のベンチに腰をかけて、空を見上げる。

綺麗な青空なのに私の心はちっとも晴れない。

流れる白い雲をなぞるように、真っ白な人が歩いているのが見える。


「……んんっ!? あれって……真白さん?」


あの全身が真っ白な人って、絶対いない。

というより、雲と一体化してて最初気が付かなかった。

真白さんはノートを持ったまま、小さなビルで立ち止まっていた。

私はこのチャンスを逃さないように、急いでその場所に向かった。





真白さんがいるのは、街外れにある廃墟になったビルの屋上。

その場所に立ってはいない。

ふよふよと浮いているだけだった。

私は息を切らしながらビルの屋上目指して、階段を上った。

きつくてつらくて大変だったけど、私は漸く屋上でふよふよ浮いている真白さんの所まで辿り着いた。

その後ろ姿は切ないのに、纏う空気が氷。

触れたらしもやけになる可能性が高いくらい、冷たい……。

けど、此処でいわなきゃ何も変わらないし。

私は真白さんの傍に居たいだけ。

だから真白さんに拒絶されても、行くんだ。

当たって砕けろだ!


「真白さんっ! 私、やっぱり真白さんの過去が気になります! 悩みがあるなら言ってください! 私、真白さんに力を貸しますから!」

真白さんは驚いたように目を見開いていたけど、すぐに溜め息をついた。