「あの……真白さん?」

「由紀、俺の事は気にするな」

「え?」

「君には関係ない事だ」

「!」


関係ないって……そんな。

真白さんの事を知りたいって思うのはダメってことなの?

あ、そうか。そうだよね。


「そう、ですね……。私達、只の知り合いですもんね」


私達の間に何かを感じるなんて、馬鹿な話だったんだ。

どうしようもなくて、私は自分の制服のスカートを強く握った。

シワになるな……けど今はそんなのどうでも良い。


「あの! 私、これから買い物に行かないといけないんで……」

「そうか。気をつけてな」

「はい!」


私は真白さんに軽くお辞儀をして、その場を離れた。

また会いたい、なんて言葉は言えなかった。



街の商店街をとぼとぼ歩きながら、私は何回かの溜め息を吐いた。

真白さん、何か隠してるよね。

けど言いたく無さそうだった。

さっきまでの夕日のような温かな雰囲気が、まるで吹雪でも来たかのような冷たさに変わって……。

私は怖くなって逃げ出した。

あの瞳は私をいらないって訴えていた。


「仕方ない、よね……。私が真白さんと関わったの、あの日だけだもんね」


死にたいと思った私の心が、本当は生きたいと教えてくれた、あの日だけ。

あれから真白さんが何をしていたかも、今まで何処にいたかも知らない。

これじゃ本当に――


「他人じゃないか」


虚しく響いた言葉が胸に染みて、私は涙を流していた。