真白さんの魔法


「……うきゃあっ!? ま、真白さんっ!?」

「あぁ。久しぶりだな。一週間位か。君は少し変わったな」

「えっ!?」

「あぁ……だが、体は相変わらずのよ」

「真白さんも変わらず変態のようですね! がっかりですっ!」


漸く会えて実感する。

この人、変態だったわ。


「君はもう少し殴る力を弱めたらどうだ?」

「すいません。変質者に会ったらおもいっきり殴れって事だったので」

「俺は君と知り合いな筈だが?」

「そーですね。というか真白さん。いつまで逆さまでいるんですか? 危険ですよ?」

「あぁ。それもそうか」


そう言って真白さんは体を反転した。

だけど体は浮いたまま。

気になるけど、今は無視しとこう。


「真白さんはこの神社に用があって来たんですか?」

「いや、ノートを見ながら空を散歩してたら君が見えたから、つい声を掛けたまでだ。もうしばらくしたら行くさ」

「み、見掛けたならもっと早く声をかけてくださいよっ!」


あんな必死な姿を見られたなんて、ちょっと恥ずかしい。


「いや、頑張っていたからな。君は本当に変わったよ」


ふ、と優しく笑う真白さんに心臓が高鳴る。

いつもより早い鼓動が煩い。

あぁ、早く何か言わないと……っ!


「あの……真白さん、降りないんですか?」

「……あぁ。俺は浮いてる方が楽だからな」

「けど、それじゃ座れませんよ?」

「気にするな。浮いてれば座る事も簡単だからな」


何故だろう。急に真白さんの纏う空気が変わった。

何だか、氷のように冷たい……。

私、なにかしたのかな?