真白さんの魔法


全力で走って走って、走り疲れて着いたのは小さな神社がある階段前。

私は階段の二段目に腰を掛けて息を整えた。


「そういえば……上ってないなぁ。来ちゃったし、お参りしとこ!」


私は重い腰を上げて、長い階段を上る。

走ってきたせいもあってか、足が重くて前に進むのが辛い。


「あぁ~! きっつー……」


今日は止めようかな?

けど、ここを上ったら真白さんが見つかるかも知れない。


「……よしっ、上るぞぉ!」


私は気合いを入れて、足に力を込めて進んだ。

一歩一歩、ゆっくりだけど前に前に進む。

例え真白さんに会えなくても、私はもう大丈夫。

一人だけど、一人じゃない。

私は弱くないもの。真白さんがそうしてくれた。

だから、前に進むんだ。


「はぁっ、はぁっ……つ、着いたぁ!」


階段を上り切って、私はその場に倒れ込んだ。

辛かったけど、諦めなかった。

偉いぞ、私!


前を見れば余り掃除されていない神社で、草がぼーぼーに生えていた。

私はそれらを少しだけ取って、お賽銭箱に五円玉を入れた。


(どうか、真白さん に会えますように)


祈り終えて満足した私が振り返ると、


「お参りか? 由紀」


空中で逆さになっている真白さんがいた。