「じゃ、私部活に行くから!」
「うん。頑張ってね!」
「ありがとう、ゆっきー! 気をつけて帰ってね!」
「大丈夫だよ。ありがとう、朱美」
放課後になると、バスケ部に所属している朱美がいそいそと教室を出ていったのを見送って、私はゆっくりと玄関へと向かう。
この学校は部活を強制していないため、私は自由にゆっくりと帰宅部だ。
部じゃないけど。
「はぁ、何処にいるのかなぁ? 真白さん」
本日四回目の溜め息と共に、つい本音が出てしまった。
言わないようにすればするほど、言いたくて。
私はきっと病気だ!
何故か真白さんの事を思うと顔が暑くなる。
「やばいやばいっ!」
ぱたぱたと手で扇ぎながら玄関を出れば、校門には真っ白いノート。
そこでつい足が止まる。
(誰か書いてるかな?)
私はそぉっとノートを覗く。
けど、今のところ何も書かれていない。
真っ白で綺麗なままだった。
「良かった……ん? 良かった?」
どうして私は今、ほっとしたの?
ノートに誰も書いていないから? だよね?
決して、自分以外が書いてなくてラッキー! なんて思ってるからじゃない……はず!
「うぅ~~っ! ごめんなさぁい!」
どうして謝ったのか、なぜ走ってるのかなんて分からないけど、私はとにかくがむしゃらに走った。
ノートが見えなくなるまで。
