あの日私の願いを叶えてくれた、魔法使いの真白さん。

全身が真っ白なだけに、何処に居たって目立ちそうなイケメンなのに……。

私はあれから一度も真白さんに会っていない。


「はぁ……」


教室の窓側の席。相変わらず騒がしい教室。

前までは鬱陶しいとさえ思っていたのに、今では心地良い私のBGMにすらなっている。

まぁ、煩い事には変わりないけど。


「はぁ」


私は机に肘をついて大きな溜め息をついた。

あれから、一週間も経った。

一週間しかって思うかも知れない。けど、私にとっては一週間も! なんだ。

あんなに綺麗な人は、生きてきた人生の中でもう二度と会えないくらい価値のあるもの。

なのにあれから、ちっとも会えない。

色々聞いて欲しい事があるのに……。


「はぁ~……」

「ゆっきー。今日で溜め息三回目だよ?」

「大丈夫か? 悩み事ならうちらが聞くよ!」

「うん。けど私、なんで悩んでるのか分かんないんだよね……」


折角朱美や瑠璃ちゃんが心配してくれてるのに、等の本人が分かんないんじゃ相談のしょうもない。


「はっはーん! 分かった! ゆっきーの悩みが!」

「えっ!? 朱美、私の悩みが分かるの!?」

「ゆっきー、軽く私の事馬鹿にしたな? まあ良いや! ゆっきーの悩みわなぁ、こ……」

「おーい、お前らぁ~。席に着け。HR始めんぞ!」


良い所で先生が来て、結局朱美は悔しそうにしながら席に戻って行った。

けど、本当に朱美が私の悩みに気づくなんて、不思議な感じ。

嬉しくなって笑ってたら、先生にチョークを当てられた。

いつ時代だ、先生。