真白さんの魔法


翌朝、私はすっきりした顔で家を出た。

信号機を越えて校門の前に来ると、私の目の前には真新しい白いノートが一冊、見開きになっていた。


(新しいノート、置いたんだ。なんだかまだ夢を見てるみたい)


昨日出会った全身真っ白な魔法使い。

かなりのイケメンなのに変態さん。

だけど、とても根は真面目で、紳士的……。

こんな私を救ってくれた、叶枝真白さん。

昨日沢山お礼を言った後、彼は私に言った。


『また会えるだろ。その時を楽しみにしてる』


と、私の頭を軽く撫でてくれた。

また……会っても良いんだ。

私はその言葉を聞いてから、一睡もできなかったけど、体は怠くもない。

寧ろ私は、もう一度真白さんに会えないかずっと考えてた。

そして校門前、私の目の前には真白さんのノート。

真っ白なノートは私の威圧感に耐えられないのか、焦り気味。

汗なんて書いてないけど。

私はペンを手に取った。

けど、


『願いは一度だけだ』


真白さんのその言葉を思い出して、私は書こうとした手を止めた。


「そうだ……。もうノートに書いちゃいけないんだ」


一度だけの願い。

厳しいな、今の私には……。

でもこういうのは自分から見つけた方が、嬉しいよね。

私はノートを軽く撫でて、


「真白さんに、また会いましょうって伝えてね!」


と、元気に言えた。

空を見上げたら、清々しいほどの青い空が私に笑ってくれた気がした。