真白さんの魔法


次に着く頃には辺りは真っ暗で、私は怖くなって真白さんから離れられなかった。


「着いたぞ。目を瞑ってないで、開けてみろ」


真白さんに言われた通り、私はゆっくりと目を開けた。

く、と顔を上げれば真白さんのドアップと、その後ろに見える星空に私は涙を流した。


「綺麗だな」

「はい……」

「君にもあるじゃないか。心が」

「そう、ですね……」

「答え、分かったか?」

「はい。私の考えてた事が、この星に比べたらとってもちっぽけだって思うほど、簡単でした」


私は涙を両手で拭う。


「私、゙生きたい"。本当は死にたくなんかないって、心の中で言ってたんだって」


そう、あの綺麗な海を見た時にはもう、分かってしまった。

世界にはこの海のように綺麗な所が沢山ある。

私はそれを見れずに、見ようともせずに、死ぬの?

そう思ったら、死にたくないと思ってしまった。

あんなに死にたいと毎日思っていたのに。


「こんなふうに思えたのも、真白さんのお陰です! ありがとうございます!」

「俺は何もしていない」

「こんなに綺麗な海や星を見せてくれたじゃないですか!」

「これは俺からの礼だ」

「どういうことですか?」


どうして私にお礼を言うのだろう?

私は何もしていないのに。