真白さんの魔法


それから真白さんは私を連れて、何処へ行くでもなく自由に空を飛んでいた。

夕日が反射して海がきらきらと輝く景色は、まるで星のようだった。


「きれー……」

「空から見る海なんて、なかなかないだろう」

「はい……。あ、今軽く私を貧乏人扱いしましたね?」

「さあな」

「ひどい! 真白さんの馬鹿!」

「変態呼ばわりされるよりはましか」

「いえ、変態には変わりませんよ」

「なんだ。君の方が失礼だな」


真白さんはそっぽを向いて拗ねていて、こんな顔もするんだと人間らしい一面を見れて、ちょっと笑えた。

そしてなんとなく、真白さんがしたいこと、私の中の答えの意味が分かった気がする。


「日もくれてきたし、次に行くぞ」

「あの、真白さん」

「なんだ?」

「……いえ、なんでもないです」

「そうか」


真白さんはそれ以上聞かないでいてくれた。

私は謝りたくなった、真白さんに。

こんな私のために、素敵な所へ連れて行ってくれる事に。

けどそれは違う。

真白さんは私に答えを出して欲しいからこうしてる。

だからきっと謝るのは間違ってる。

そう、謝るんじゃなくて、もっと違う言葉があるはず。

私は真白さんに掴まりながら考えを廻らせていた。