何も変わらない日常に、ある日見なれない真っ白なノートが置かれていた。


私、桜田由紀は、何時ものように学校へ登校していた時、ふと視界に見なれない真っ白なノートが、街角に置かれていたのを発見した。

いや、置かれたというより、浮いてるの方が正しいかも知れない。

その真っ白なノートは見開きのまま、なんの支えもなく浮いている。

紐や見えないテーブルなんかに置いてる訳じゃ無さそうだった。

ちょっと気になったけど、私はあえて無視を決め込んで学校へと足を早めた。


けど、またそのノートを見かけてしまった。

しかも今度は横断歩道の電柱に、ぴったりとくっついていた。

そんな不思議なノートを、子供達が必死になって剥がそうとしても、一ミリも動かない。

なんて頑丈なんだ。

紙切れの塊。

私はそのノートに感心して、青になった信号機に従って歩き出した。


もしかしたら、私はこのノートにストーキングされてるんじゃ……。

そう思ってしまうほど、本日三度目、真っ白なノートを見掛けた。

しかも学校の校門で。

三度も見掛けたらもう間違いはないだろう。

このノートは私より先回りして私を待ち伏せしてたんだ!

そうだ、そうに違いない!

ノートは見開きのまま動かないが、私は顔中冷や汗だらけだ。

何も書いてないだけに、恐ろしいやつだ!

私はぐっ! と両拳を握り締め、ダッシュで玄関まで駆けた。

途中で振り返ってもノートはちっとも動かず、どこか涼しい顔をしていた。

いや、顔なんてないけど。

私は恥ずかしくなって、ゆっくりと歩きながら俯く。


『なんなの……?』


もしかして、今日は厄日?