幼い頃から修行を積み、17才の若輩にして『最強のオニ狩り』と囁かれる景時の研ぎ澄まされた感覚は、廃ビル上階にもうひとつの鬼気を察知していた。

小さな鬼気だ。
殺気もない。
だが…

基本、オニは共喰いはしない。

しかし、これはあくまで『基本』だ。
追い詰められ、さらなるチカラを欲した時、例外が生じる。
そして同族を喰らったオニは、強大なチカラを手に入れるのだ。

今回の標的が小さな鬼気を喰らう前に、始末しなければ。

景時は冷酷にすら見える表情で走り出した。