深々と頭を垂れる住職の姿に、景時と薫は目を丸くした。
財政界にも幅を利かす秋時の、こんなに腰の低い様子は初めてだ。

呆気にとられながらも、ふと気づいたことが景時の口をついて出た。


「ジジィ…
名乗っちゃったよ?」


「阿呆の血筋なのじゃな。」


頭を上げ、相変わらずの毒ガス噴霧器に微笑みを見せて秋時は言った。


「呪に捕らわれようが、捕らわれまいが、この寺に貴女様に敵う者などおりませぬ。

鬼神様。」