奇襲のような訪問に見舞われた『オニ狩り僧の寺』。

意識があるのは奇襲をかけた張本人、景時、薫の三人だけだと思われたが…

声がかかった方を振り向くと、ジジィと呼ぶには相応しからぬ、ロマンスグレーが立っていた。

頭髪は完全に真っ白だが、スリーピースのグレーのスーツを着こなしたスラリとした体つきが老いを否定している。
目尻の皺が優しげに見える甘い顔立ちは、確かに景時の面影がある。


「野暮用で留守をしておる間に、未熟な小僧共が粗相してしまいましたようで、申し訳ございません。
一人の命も取らずにご容赦いただいたご温情に感謝いたします。
この慈龍寺を取り仕切っております、高杉秋時(タカスギアキトキ)と申す愚僧にございます。」