そんなバカな、と苦笑混じりにオニの爪を躱したつもりが、額を掠めたようだ。


「…上等じゃん。」


景時は唇にまで流れた血を、ペロリと舐めた。

その顔に表情はない。


「斬鬼刀!」


バジュラから生み出される雷光が、形を成していく。
景時の右手に握られたそれは、まるで一振りの光の刀のようだ。

斬鬼刀。

掠めるだけでもオニを浄化する刀。
斬ると同時に『闇』を払うことができる。

しかし念を実体化させ継続して扱うにはかなりの法力と精神力を要するため、これを振れる僧は限られている。