小さな田舎料理を得意とするレストランで私は、父を待っていた。


父は少し遅れてレストランに入って来る。
白髪混じりの神経質そうな父は、辺りを気にしながら小さなプレゼントを持っていた。


『戒音、仕事が忙しくて迷惑かけている・・すまない』 


『あっ・・はぃ、』


父と話すときは、今だに緊張する、父とは小さいときからあまり、会話が無かった。


父は、嬉しそうに笑いながらプレゼントを渡してくれた。


中には小さな茶色のティディベア人形が入っていた。大げさに喜ぶ仕草をしながら、父は嬉しそうな表情をしていた。


私は感情をコロスのが得意だった。


私は家族の沢山の転勤から言葉の違いや環境の変化が多くなり、私を孤独にさせた。


友達を作れば、また引っ越しを繰り返すうちに、嫌われないように、表面は優等生を演じることに心がけた両親に嫌われないように、優等生を演じて、友達には嫌われないように。


いつしか、私は作り笑いや感情を隠すことが上手くなった。


気持ちを曝け出すのは1人で部屋に居るときに、水槽の熱帯魚に話し掛けるときだけだった。


『戒音・・私は、航空機部門から分離した、宇宙工学部門に向かうことになった・・・暫らくは帰れない事になる』


『そうなんですか・・』

当たり前の台詞。


父との距離は近くでも遠くに居てもあまり変わりないと思われた。


ただ、時折見せる悲しい表情に、偽った表情でしか感情表現できない私は戸惑う

母は再婚していて、私の居場所はない・・・
伯父夫婦に迷惑をかけ訳にはいかなかった。


『お父様の赴任先の宇宙工学は・・どんな事をするのですか?』


『宇宙空間での人型汎用モジュールを開発するチームだよ、』


『人型汎用モジュール・・・・つまり、古典何かにでてくるSFに出てくるパワードスーツのようなものだよ』