空の彼方を見るとまるで星達がいきずいているように思える。


まだ宇宙を目指すには小さすぎる戒音・グーデンベルクは満天の夜空の中1人になると、アパートの屋上から星を眺めるその時間が幸せであった。

ベルフォントシュナイゲル社はドイツの大手航空メーカーで、世界の旅客用航空機の3割は同メーカーの製品であった。


小さい頃から、私はベルフォントシュナイゲル社に勤める父の転勤に付き合わされていた、母は、日本人で父はドイツ人、技術者同志の結婚であり、私は父が若いときに日本で生まれた子供だった。


父は技術者を絵に描いたような頑固者で、家族に関心は少なかったが、母はそんな父を支えながら自分の研究も進めていた。


しかし、生活環境が幾度もかわりその変化に母は耐え切れなくなり、離婚した。

私は父に付き添い母は再婚した。


中学に上がり、私は、父が新しく航空部門から新規で作られた宇宙開発部門の責任者になったのを知った。

それは日本の佐渡という島に出来る宇宙関連の研究機関に出講するというものだった。


私は学校もあり、父と別れ叔父夫婦にあずけられる事になっていたから、暫く会えなくなる。


私は父とベルリン郊外のレストランで、最後の晩餐をする事になった。