ボクお手製のペペロンチーノを食べてお腹が膨れたケンはタバコに火をつけ、テーブルの上の灰皿を自分の方に寄せて

「早速本題に入るけど…バンドやらねぇ?ドラムもベースも決まってっからあとはボーカルだけなんだよ!お前、バンドの経験あるし、ギターも弾けるから絶対入って欲しいんだよなぁ…」

とうらめしそうな目でボクを見ながら言ってきた。

確かにボクは中学、高校とバンドを組んで、ライヴも何度か経験していた。

メンバーさえ揃えば明日にでも動きだせる状態だった。

しかし、ボクにはどうしても組めないというか、組みたくない理由があった。

ボクの浮かない顔を見て、断られる事をさとったケンは、

「頼む!学祭だけでもいい!バンドに入ってくれ!どうしても学祭に出なきゃいけないんだ!!」

と、タバコを消していきなり土下座をしてきた。

ケンの突然の行動に思わずボクは頷いてしまった…

こうしてケンのただならぬ執念に圧された形でボクのバンド入りが決った。