家を出ると、ちょうどシュンが登校するところだった。

シュンはユメの高校の近くの男子校に通っていて、毎朝途中まで一緒に登校する。

「シュン、おっはよ~!」
「おっす、ユメ」

シュンはほんの少し元気がないようだった。

「なんかあった?元気ないっぽいけど?」

「別になんもねぇよ。気のせいだろ。それよか、来週、誕生日だろ?どこ行きたい?」

急にいつものシュンに戻って安心した反面、少し気になった。

「じゃあ気のせいでいいや♪う~ん…遊園地に行きたい☆」

「お前、遊園地好きだなぁ。クリスマスも同じこと言ってたぞ。」

「だって。観覧車乗りたいんだもん!」

「わかったわかった。じゃあチケット取っておくよ」
シュンは茶髪でピアスの穴が両耳合わせて5個開いている。一見、ヤンキーっぽいが、女の子、特にユメにはすこぶる優しい。

地元でも有名なバンドのボーカリストでユメはシュンの歌っている姿が大好きだった。

「今日の放課後はどこ行く?」
「わりぃ、今日バンドの練習があるんだわ!ごめんな!」
ユメは少し膨れっ面になったが、ワガママを言ったらシュンに悪いと思い、渋々了承した。

そして二人はそれぞれの高校に向かった。