お姫様のとなり




―――――ダンッ!


「…?!」


突然、講堂中に物を叩くような乱暴な音が響いた。


一気に静まり返る空気。



そして次に静まった講堂に響いたのは、ドスのきいた低い声だった。


「ごちゃごちゃうるせぇ…。 道開けろ」



その声がした瞬間、その人の近くの生徒がばっと一斉に移動。


その人の前に道が開けた。



「…フンッ」



目を伏せ、その人は気だるそうに歩いてくる。


つかつかと、私の前を通り過ぎる。


…凄い威圧感のある人…ヤンキーさんかしら。


そんなことを思いながら、その人が私の前を通り過ぎるのを見送る。



…私の前を通りすぎる瞬間、彼がぼそりと何かを言った。




「…ほら、これで通れんだろ」




…へ…?


そのまま、まわりに目もくれず、その人は静かに講堂を後にした。