お姫様のとなり





笑うと、いつもは目つきが悪い刹那の目は、優しく細められて、ちょっとだけ目じりが下がる。

意外と大きくて優しそうな目をしてるんだ。

口元からのぞく八重歯も、刹那の無邪気な動物みたいな雰囲気によく合ってる。



こうやってちゃんと見ると、刹那ってすごく整った顔してるんだなぁ。


「どうした? ぼーっとして」


「ん、な! なんでもない!」


不思議そうに私の顔を覗き込む刹那に、私は思わず顔を背けた。


み、見惚れてしまった…!



そんな事実に、私の頬が熱くなったのは言うまでもない。


「こっち向けよ、亜生ー」


私の髪を軽く引っ張って言う刹那。


もう…なんなんだこの子はっ!



考えてみれば、私は今日何回ほど赤面しているのだろう…。


心臓壊れないといいけど…。




ほぅ、と息をついて、やっと私は正面を向く。


「亜生~」

隣では、珍獣がまだ楽しそうににこにこと私の髪を引っ張ってる。


これがもし本当に動物だったら…。

尻尾なんて振りすぎでとっくに千切れてるんじゃなかろうか。


なんて考えちゃうほど、刹那の舞い上がりようははんぱない。


「は~いはい。 ちゃんと座ってなよ、刹那くん」


てきとうに相槌を打ちながら、私は冷めかけてしまった紅茶をすすった。



ちなみに、刹那は猫舌だから紅茶を飲んでない。

熱いって言ってなかなか飲まないから、代わりに刹那の前にはオレンジジュースのコップが置いてある。


「熱くて飲めない…」

と、紅茶が入ったカップを持って悲しそうに言う刹那を見かねて、

「仕方ないなぁ」

なんて呟きながら、侑宇が刹那のために用意してあげたんだ。


その姿が仲のいいホントの兄弟みたいで、なんだかおかしかった。