「はーい」
紅茶を勧める侑宇を上目遣いでそっと覗き込み、軽く返事を返す。
ちょっと残念かも…なんて侑宇には絶対言えないけど少し感じたりもしつつ、
「いただきます」
私は目の前の紅茶に口をつけた。
侑宇も一緒に紅茶をすする。
「…ふぅ」
ひと口飲んで、落ち着いたように息をつく。
私もひと口…。
「おいしい!」
すごく落ち着く…甘くておいしい紅茶。
淹れる人でこんなに味って変わるんだ。
「そうか。 よかった」
そんな私の反応を見て侑宇は満足そうに微笑んだ。
それから侑宇はまたカップを手に取り、
さっきの事でのど渇いてたんだろうなぁ。
少し冷めたカップの中身を一気に飲み干し、自分のカップに熱い紅茶を注ぎなおした。
注いだ紅茶から甘い湯気が立ち上る。
侑宇はもうひと口その紅茶を飲み、テーブルにカップを置いて、はっとした。
「? どしたの?」
小首をかしげて侑宇の視線の先に目を移す。
「忘れてた…」
そこにあったのは、私たちが使ってるのと同じカップ。
侑宇はしまった、といった感じで、そのカップを手に取った。
それは、まだ誰も口をつけてないカップ。
そういえば…。
侑宇は紅茶を運んでくるとき、カップを3つ持ってきてた。
「アイツ、呼んでなかった」
あちゃー、と頭をかきながら、侑宇が呟く。
そのカップは、その『アイツ』の分だったのか。


