「まぁ上がれよ」
侑宇は、爽やかで優しい笑顔を見せ、ドアを開けて私を部屋に招いてくれた。
「おじゃましま~す」
お言葉に甘え、いそいそと部屋に上がり込む私。
そんな私を満足そうに見て微笑み、侑宇はゆっくりと長い廊下を歩き出す。
どこか私の歩幅に合わせてくれているようなその足取りに、なんだか嬉しくなった。
侑宇について行くと、広々としたリビングに通された。
部屋の中は、引越し初日にも関わらずとても片付いていて、生活感のあるいい雰囲気のリビングだった。
「その辺適当に座っててくれ」
「ありがと~」
「お茶淹れるから待っててな」
「あ、おかまいなく~」
やっぱ侑宇は優しいなぁ。
私をリビングの中央にあるソファまでエスコートしてくれた侑宇は、
そのままキッチンへと向かう。
その背中を見つめながら、私はしみじみとそう思った。
ゆったりと落ち着けるその空間に、身体をあずける。
閉められた薄いカーテンから、もう暗くなった空が見える。
4月とはいえまだまだ日が短い。
そういえばもう6時くらいなんだなぁ。
夕飯なに食べようかなぁ。
侑宇みたいな人が私の部屋にもいたら、毎日おいしいご飯が食べられるんだろうな…!
ムードや女子らしさの欠片もなくそんなことをぼんやりと考えていると、
侑宇が入っていったミニキッチンから、紅茶の甘い香りが漂って来た。
あ、おいしそうな甘い香り…。
行く先々で紅茶ご馳走になっちゃって、なんだか申し訳ないなぁ。
とか思いつつも、私の顔は楽しみでほこぶ。
侑宇は面倒見もいいし、きっと料理もうまいんだろうな。
私なんかが淹れるより、ずっとおいしい紅茶が飲めることでしょう♪


