「きっと祈璃は、貴女のことが好きなんでしょう」
……
……
「…はい?」
しばし思考停止……。
朔夜はなぜか、いつもと変わらないトーンで、いつも通りの口調で、…いつも通りの笑顔で
そんなぶっ飛んだことを言ってきやがった。
…たまにこの紳士のことが本気でわからない。
私は、さっきまでのことを忘れ…たふりをして、頭をかかえた。
「…冗談はやめなって! 祈璃くんがかわいそうだ」
こんな私、祈璃くんみたいなキュートボーイが好きになるわけないって。
しかも、今日出会ったばっかなんだよね。
思い返せば、どうして出会いの初日に正座で説教受けなきゃいけないんだ?
しかも、無視決め込まれたり、存在消されたり、
初日にあってはならぬことだよね。
おかしいな。
…と、いろいろ不思議はあるけれど、
そんないろいろあった私の、どこに惚れる要素があるってんだか、私が一番知りたいわ。
眉間に不自然なほど深いしわを寄せ、私は朔夜を見上げた。
きっとこの顔も女子にはあるまじきおぞましい顔面なのだろう。
「ほら。 こんな私に他人に好きになってもらえる要素があるのか?」
「はい。 亜生はとてもステキですよ」
あぁ、こいつはおかしいんだ。
私の直感はそう言った。
まさかの変顔フェチ…ってことはさすがにないよね?
怪訝な顔で朔夜を見つめると、朔夜は完璧なスマイルを一切崩さず、さらりさらりと語って聞かせてきた。


