お姫様のとなり





* * * * *



「じゃぁ、そろそろ帰ろうかな」


それから気づけば30分くらい朔夜・祈璃くんの部屋に入り浸り…


そういえば私は挨拶をしにきてるんだよ!!


と、やっと当初の目的を思い出し、私はお暇することにした。


帰ると言うと、


「…むぅぅー…」


「…祈璃くん?」


なぜか祈璃くんが拗ねた子供のように不機嫌になってしまった。


ソファに体育座りして、ぷぅっと唇を尖らせている。


な、なんで…?!

なんで怒ってんの?!



「い、祈璃くん? どうしてご機嫌ナナメなのかな?」


あんまり怒んないでほしいです! 怖いし!


…と言う本心は隠しつつ、なるべく機嫌を損ねないように聞いたつもりだったんだけど…


「…なんでもない。 帰れば?」


祈璃くんはクッションを抱き込み、完全に私を見てくれなかった。


なんでぇ?


亜生ちゃん悲しいんだけど…。


「じゃぁ、はい…。 帰ります…」


しぶしぶと、私は素直に部屋を出た。



祈璃くん…つかめないなぁ。



しゅん、とうなだれながら、玄関のドアを開ける。


「おじゃましましたー…」



そう言い、私が2人の部屋を出て行こうとすると…


「亜生」


聞き慣れた紳士の声が、私の肩を掴み、引きとめた。