そして超絶美形秀才紳士は、私の質問にいとも簡単に、さらりと答えた。
「はい。 玖澄朔夜です」
…丁寧にフルネームをどうも。
まさかの、お隣さんは相変わらず丁寧な玖澄さんだった…!
なんてこと…
私の脳内に、教室での一件がよみがえってくる。
はぁぅ!! 顔が熱くなってきた!!
恥ずかしい…
…もうあんな思いするのは嫌です…///
「…どうしました美風さん? 顔が赤いですけど」
「ひぇ…!」
玖澄さんの長い指が、私の頬を滑る。
そして、いじわるな笑みを浮かべた。
「なんですか? …なにか、思い出しました?」
ひぃぃぃー!!!
艶っぽい玖澄さんの笑みと声に、私の頭の中はスパークする。
「いっ、いえいえいえっ!! な、んにも知らないです!」
噛みそうになりながら、玖澄さんの近づいてきた顔を押し返す。
すると玖澄さんは
「つれないですねぇ。 亜生」
「?!」
ななな、名前…!
必殺技と言わんばかりに、私の名前を呼んだ。
「せっかくお隣さんになれたわけですし、ね? 僕も朔夜って呼んで下さい」
玖澄さん…朔夜は、私の髪を一束すくいあげ、口元に持っていって微笑んだ。
「…わかった! から、恥ずかしいことはやめよう!」
こんなフェロモンだだ漏れの人と話してたら心臓がもたないよ!
私は、真っ赤な顔を隠すのも諦め、ただ必死に叫んだ。
「あはは。 やっぱり亜生は可愛いですね」
朔夜は、相変わらずの軽口を叩いて私の髪を放した。
やっと、ほぅ…と安堵のため息をつく。
朔夜はそんな私を楽しそうにしばらく眺め、
「あ、そうだ」
急に、思い出したように手を叩いた。


