…ヤンキーさん(?)が出て行くと、講堂は、先ほどとは違うざわざわに騒がしく湧いた。
「うっわ怖ぁ…」
「誰ぇ? ヤンキー?」
「俺、あいつ知ってるよ。 中学ん時いろいろ噂になってたし」
「えぇ~… 超ヤバそうじゃん…。 同じ学校とか最悪…」
話の中心は、もちろんさっきのヤンキーさん。
どうやらよからぬ噂があるみたい。
「…そんな悪い人なの?」
人知れず、つぶやく私。
どうしても、私にはそんな悪い人に思えなかった。
胸に引っかかるのは、さっきのすれ違いざまの言葉。
一瞬だったけど、すごく優しい声だった。
もしかしたら、ここで困ってるみんなのためにやったことなじゃないかな…?
そんな事を考えてみる。
ホントはそんな怖い人じゃなくて、ただ不器用なだけなんじゃないのかな。
でも、私がそんなこと考えたところで、みんなのあの人に対する思いが変わるわけなんかなくて。
「なんでここに入学したわけ?」
「もっとあいつに合う不良高校があったよね」
止まらないあの人への悪口。
私はなぜか、悔しくてたまらなかった。


