『・・・。』
日が暮れてもそこから動かないボクの肩にマスターの手が触れた。


「ジュリア、明日使用人に言って見つけてもらおう。」
『・・・マスター、ボクも行っちゃ、ダメですか?』
「何を言ってるんだ?ダメに決まっているだろう。お前は外に出られない。あの時言っただろう。」


冷たい、マスターの言葉が鋭く突き刺さる。

頬を伝う涙が、カーペットに染みを作っていく。


「いいな、ジュリア。お前はこの部屋にいて、使用人が持ってくるのを待つんだ。」
『どれ位かかりますか?』
「何、あんなもの一日経たずに終わる。」
『なら、一日経っても見つからなければ、一時間ボクに探させて下さい。』

始めは、全く首を縦に振らないマスターだったがボクの根気に負け一時間なら、と承諾してくれた。







結局、使用人たちは一日じゃ見つけられなかった。






ボクは無くしてから二日たった昼間、売られた四歳の時以来、十三年ぶりに外に出た。