白いツバサ



「そ、そうですよねっ。すみません・・・。」

置いたばかりのクッキーを手にして、さっさと立ち去る受付嬢。
きっと、だめだったぁ~って同僚になきついたりするんだろうな。
「随分と酷いのね?」
「・・・牧さん。」
牧さんは、重役の一人だけど実力はない。
父親がこの会社の重役の一人だからってその地位に無理矢理押し入ってきたずるい女だ。

「でも、彼女って誰の事かしら?もしかして、私?」
「そんな訳無いでしょう。」
彼女からはいい噂を聞かない。
確か、男をとっかえひっかえしてるとか。

「あなたを彼女にするならさっきの受付嬢を彼女にしますよ。」
「あら、酷い。」
「すいません、俺、あなたの事大嫌いなんで。」
「私を嫌いって言っていいのかしら?私の叔父は、キーボーイズの社長なのよ?」
へぇ、そうなのか。って心の中で思う。
「この会社を落としてって言えば、簡単に落とせるのよ?」
「貴方、本当にこの会社の人間ですか?」
馬鹿なのか、この人は。馬鹿なんだろうな。


「どういう意味?私は、困らないわよ?」
「NEVER GIVE UPを舐めない方がいいですよ?重役という地位にふんぞり返って座り、何もしない貴方は何も知らないんでしょうけど。」

『そうよねぇ~。たかだかキーボーイズに買収されるほど、うちの会社は小さくないわよ?』
「社長!!」
「瑠奈。」