「はぁ~。やべ、会いてぇ。」
ぼそ、と呟いた言葉は誰にも届かずに消える。


外に面した壁一面窓ガラスの広い社長室から、真っ青な空を見上げる。
それから下に目をやると、公園でバスケをしている集団がいた。

「お、懐かしいな。」
目を細めて過去を思い出す。


あの時は、高一だったっけ?とか思いながら大学に通いながら大企業の重役を勤めている自分の姿を見つめ直した。
「瑠奈に会ってなきゃ、こんな風にはならなかったよなぁ。」
コンコン、
「副社長。」
「何だ?」
いつの間にか手にしていた写真立を机に置きながら、入って来た受付嬢を迎える。

「社長宛に、アメリカから何通か手紙が来ています。」
「ああ、ありがとう。そこ置いといて。」
「は、はい/////」
受付嬢は言いつけどおり、手紙置いた。
と、同時に何かを置いた。

「あ、あの。これ、作ったんですけど、食べてくれますか?」
「なにそれ。」
「あ・・・の、く、くっきーです////」
内心、恐らく。キャー言っちゃった。とか言ってるんだろうな。

「要らないから、もって帰ってくれるかな?」
「え・・・。」
「ごめんね、俺、彼女の手作りしか基本食べないから。」
ここで甘やかすと、毎日持ってきたり無断で社長室は言ってきたり酷い時は彼女面してくるからなぁ・・・。



過去の苦い記憶を思い出し、軽く苦笑する。