『羨む?ボクが?』

違う、と否定するボクと。

そうだ、と肯定するボクが。

心の中で競い合っている。





「ジュリア。」
バルコニーから見下ろしていたボクの背後から、マスターが怒った顔で近付いてきた。

『マスター。』
「ダメじゃないか、そんなに身を乗り出しては。危ないし、焼けてしまう。」
強い力で引っ張られ、その反動で手に持っていたソレが公園のほうに飛んでいってしまった。



『あっ!!!!』
「ジュリア?」
思わず、つかまれた手を振り解き


落ちていく、消えていくソレを見た。


バルコニーの手すりを掴む手が震えた。




カシャン!!




無残な音が、ボクの、私の、耳に届いた。