視界がぼやける。
涙が溢れる。
大好きな人たち、私を一番大切にしてくれる、大切な人たち。
だけど、私の大切な人を傷つけた、大切な人たち。

どちらも大切なの。
だから、兄たちが掴まる姿は見たくないよ・・・。


「NEVER GIVE UPの、七瀬 洸 七瀬 修だな?」
「・・・ああ。」
二人は諦めたように、立ち上がる。
「殺人罪、監禁罪、及び個人情報流出の容疑にかけられている。」
「判ってるよ。」
「瑠奈、ごめんな。俺たちの所為で、辛い目にあわせて。」
「瑠奈。大好きだよ、それから・・・。」


洸兄は私の耳元でなにやら囁くと、私のカーディガンのポケットに何かを滑り込ませた。
「元気でな。」
「元気でね、俺の、俺たちの、お姫様。」





―また、明日な
―もう、いっちゃうの?!やだ!るなもいっしょにいくぅ!
―瑠~奈?また明日ね、俺たちの、お姫様。



ちゅっ


頬に落とされる、唇の感触。


『こ、にぃ・・・しゅぅ、にぃ・・・。』
「そんな顔しないの。」
「可愛い顔が台無しだぞ。」
瞳から溢れる涙が止まらない。
大好きだった。人を殺してしまった、犯罪者の従兄弟。
それでも、私の、大切な血族なの。

袖で乱暴に涙を拭う。


『大好きだから!!!元気でね!!!!しゅーちゃん!こーちゃん!!いつか、また、会えたら!!!』


きっと、あの二人はもう出られない。
だけど。