白いツバサ



「カジャさんが叫ぶなんてっ!!」
『と、とにかく、逃げましょうっ!!』
私の家はダメだ。
恐らく貼られているだろう。
ならば、と近くの大学に同僚のユキさんと逃げ込んだ。

「ハァッ、ハァッ、ここなら、安全よね・・・?」
人の多い、有名な大学。
『た、多分・・・。』
見知らぬ私達を見ている生徒たち。
「ダイジョウブデスカ?」
声をかけてきてくれるも、英語。
判るはずも無い。
『えっと、・・・ゴメンナサイ、ワタシエイゴワカラナイノ』
「ソウデスカ。」
ああ、行ってしまった・・・。
人が散っていく。
警備員が近付いてきた。

「どうかしましたか?」
おお、この人は日本語だ!!
「あの、ちょっと可笑しな人に追われているんです!」
「どんな人ですか?」
ユキさんのSOSに少し驚いた顔をしながら対処してくれる、警備員さん。


「二人組みの男です。日本人でジュリアという名前の女の子を出してくれって言われて。
急にチェーンソーを見せてきたんです。」
「・・・。」