どこか楽しそうに修兄が言うと、洸兄なにやら慌てて出て行った。



ガチャ、と外から重厚な鍵がかけられたのを聞いた。






「どうしよう・・・。俺が来た所為で、ジュリアが・・・。」
顔を真っ青にしている莉玖に向き直った。


『大丈夫、莉玖だけは出してあげるから。』
ボクは立ち上がり、近くにあった戸棚を開けた。
本が隙間もないくらい敷き詰められているが、その中の一つの本を手にした。
古臭く、深い緑の薄い本だ。
ゆっくりと開けると、そこにはたくさんの鍵。

「え・・・?」
『前、見つけたの。』
その中から、牢屋の鍵を取り出し開ける。
「外・・・。」
『ごめんなさい、ボクの所為だ。』
「そんなことない。」
手枷、足枷、首輪を外してやると、今度は長い牢屋の一番奥に導いた。
『ここ、だったはず・・・。』
ギロチンのある部屋に入り、監視カメラを隠す。
見ている人なんて、一人も居ないけれど。
「この部屋は・・・。」
『昔、紛れ込んだ猫が居たの。その子はいつも出入りしていたから後を追ってみたの。』

ギロチン台を左に少しずらしてから押し込むと、大きな階段が出てきた。
「帰れる・・・!」
階段を降りようとする莉玖を慌てて止めた。
『これは、おとりなの。』
「え?」
『本当の出口はこっち。』
ギロチン台に上り、敷き詰められたレンガを押し出す。



「外だ・・・。」
『うん。』
「出て大丈夫?」
『大丈夫。ここから出たら、近くの垣根に急いで逃げ込んで。そして、壁のどこかに隠し扉があるの。そこから逃げて。』
「ジュリアは・・・?」
『私は・・・外に出ても、意味ないから・・・。』
首を振ると、莉玖は怪訝そうな表情になった。