家に帰ると、クラッカーのうるさい音が耳を支配した。



「瑠奈、誕生日おめでとう。」
「瑠奈、もう五歳なるのか~。お父さんは悲しいぞ。」
「瑠奈ちゃん、誕生日おめでとう!」
「瑠奈が生まれて五年かぁ・・・早いなぁ。」

お父さんと、お母さんと、叔母さんと、叔父さんと、従兄弟の修兄とその弟の洸兄。
大好きな、私の家族!!


ほら、瞳を開けたらー・・・。









六歳の誕生日の日。
お家には何もなくなっていた。
私の洋服も、家具も、お父さんとお母さんも。

「瑠奈、お帰り。」
『洸兄っ!!』
背後に立つ、見知った家族に抱きついた。
「瑠奈、おじさんと叔母さんは瑠奈の事を売ったんだ。俺が買ったんだよ。だから、これからは俺のことをマスターって呼ぶんだよ。」
『買った?売った?マスタァ?』
私はまだ小さくて、未熟で、その言葉の意味がよく判らなかった。否、わかろうとしなかった。



馬鹿な私。
突きつけられたのは、捨てられたという事。
違うな、売られたという事だ。