「ジュリア。」
背後から聞こえる黒く低い声に背筋が凍える。
「外には出るなと言っただろう。」

『カハッ・・・マ、スター・・・。』
涙が浮かんだ瞳でマスターを見上げる。

視界に映ったマスターの表情を見た途端、喉まででかかった言葉が全て消えてしまった。
死神を目の前にした気分だ。
顔から血の気が消える。嫌な汗が体中を伝う。


足がガクガクし始め、たっているのも困難になってきた。
息が出来ない、苦しい・・・。


「もう、外に出るなよ。」
『は・・・い・・・。』


頷くと、マスターは無表情で鎖から手を離した。
開放されたボクは、バルコニーに手を付いて跪いた。






それでも何とか立ち上がって、部屋の中に入ると窓にさえ厳重な鍵を掛けた。
カーテンを引かれ外の世界から遮断された。