ベッドの上で、延々と考えた。
気がつけば、外は明るくなって。それでも考え続けた。
そしたら、太陽はもう既に頭の上まで来ていた。
『・・・起きよ。』
足と首にまとわりつく、《戒め》がボクの行動を縛る。
何の為の鎖なのか、判らない。
そとから厳重な鍵がされてあって、ここは三階。
逃げ道なんて、ドコにも無いじゃない。
それとも物理的な逃走ではなく、精神的な逃走を妨げるものなのかもしれない。
壁に埋め込まれた鎖を見て、そう思った。
分厚い扉に、鼠一匹出られない空間。
さらには私の行動を妨げる鎖。
こんなに絶望的な位置にたって、逃げようなんて考える人はまず居ない。
そうだ。そうだった。
始めに言われた言葉すら、ボクの本能的逃走心を刈り取る戒めだったのか。
手の中に納まらないバスケットボールが、足元で主人を求めるように転がった。
『帰りたいよね…』
主の元に。
『オカリナは、戻ってきてくれるかな?』
オレンジのボールを地面に突くとあの子を思い出した。
彼は、莉玖は、今何を思っているだろうか。