『あ、そうだ。バスケって楽しい?』
聞くと途端に顔を輝かせて、ボールを渡してきた。
「勿論!君もやってみる?すごく面白いよ!」
『一回だけは、だめ?』
「まさか。やってみようよ!」
「そういえば、名前なんて言うの?」
『ジュリアって名付けられたよ。』
「・・・そっか。俺は、海条 莉玖(かいじょう りく)
手を引かれ、バスケットコートに足を踏み入れた。
堅くなったコンクリートの地面。
「ここに立って、あのリングに入るように放つんだよ。」
背後から丁寧に説明してくれた。
『こう?』
「腕が、こう。」
直された形のまま、ボールを放った。
リングの端にカコン、と当たっただけで入る事はしない。
弾かれたボールはフェンスを越えていった。
『あ、ボク取ってくる。』
「え・・・あ・・・。」



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