愛奈は申し訳なさそうな顔をしながら、

でも、

オレに目線を合わせることなく、

小さな声で、

今までの経緯を話した。


社内メールの誤報を

訂正してくれたのが仙堂だと言うこと。


その恩を着せるために

食事に誘われたこと・・・


断ったら、

もう一度、噂を流すと言われ、

已むおえず、

今日の食事に行ったこと・・・


「愛奈、どうしてちゃんと

すべてをあの時に言ってくれなかった?」


「俊との生活を壊したくなかったから。

ただでさえ職場が離れて寂しいのに、

俊と一緒にいられるこの幸せな空間が

壊されるのだけは、絶対にイヤだった」

そう言った愛奈の目から、

一粒の涙が落ちた。