父子家庭のワタシと母子家庭のキミ


俺は体育館裏まで走った。

嫌な予感が頭を過る。

「…………!」

怒鳴り声が聞こえる。

俺は急いだ。

俺が体育館裏に着くと同時に

馮風が手を振り上げた。

俺は走って、その動きを阻止した。

馮風は驚いた顔で

俺を見ていた。

「………ぁ……おい…。」

馮風が弱々しく呟いた。

「紫苑になにしてんだよ。」

「だって…」

「紫苑になにしてんだよって言ってんだよ!」

自分でもビックリするぐらい

俺は怒鳴っていた。

“私は絶対に認めないから。”

そぅ言い残し馮風達は去って行った。

紫苑の方を振り返ると

ドクンッ

紫苑の頬が赤く腫れていた。

俺はそっと紫苑の頬に触れた。

ビクッ

紫苑がビクッとなった。

少し怯えている…。

「紫苑……」

グイッ

『きゃっ』