…なんて苦しい作り話。
“この子”は勝手に私の嘘に付き合わされてスヤスヤと寝息をたてながら眠ってる。
こんな適当な作り話、誰も信じるわけないのに。
その鈴は自分のだって言ってしまえばそれで終わりだったのに。
余計めんどくさいことしちゃった。
でも…
「そっか、こいつ飼われてたんだ」
私の嘘を信じている人がここにいる。
「え…いや…私が勝手にそう思ってるだけで本当にそうかどうかは…」
慌てて口を出す私に彼はただ笑っていた。
「でも本当にこの子のかもしれないよ。またつけてたら迎えに来てくれるかもな」
“迎えに来てくれるかも”
ドクン…


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