愛恋歌-tinkle tone-


何で琢己の服なんかいつまでも置いてるんだろ…

彼が帰ったら捨てよう。


そう自分の中で小さな決心をしながらコーヒーの蓋を開けた。


蓋を開けた途端に鼻を刺激する香ばしい香り…

この瞬間の香りが好き。
でも好きなのは香りだけで、コーヒーの味はどうしても好きになれなかった。


それなら何で家に置いてあるのか…

それは…



“彼のこと今でも好きなんだね”


さっきの彼の言葉が頭をよぎった。


「………っ!」



違う!好きなんかじゃ…ない。

このコーヒーも彼が帰ったら捨てよう。