田久万はずっと茂呂をさがした。

 しかし、どこにいるのかさえ検討がつかないので、見つけられなかった。

 休み時間中、大口がどこかに連れて行くのまではわかったが、それ以上はわからなかった。いや、茂呂などどうでもいい存在なので、さがす気がないのだ。

 やっと午後の授業も終わった。

 田久万は茂呂を見た。

 もしも、茂呂がいじめられていても、助ける気はなかった。

 ツカツカと千紗が茂呂に近づいた。

 会話は聞き取れない。

 田久万は千紗と茂呂を見て、カッと頭に血が上るのがわかった。

 いじめられているなら、はっきりと口に出して言えばいいのではないか。モゾモゾと押し黙っていては癇に触る。

「どうした?」

 と、田久万は気持ちの感情を抑えて言った。

 何も答えない。

 千紗は茂呂を見ていた。

「どうした?」

 田久万は二度目なので、少しきつい口調になっていた。