田久万は色々と考えていた。駅前に向かっている最中にである。

 必ず、時間を止められる持ち主がいることだ。

 そいつは千紗の母親からお金を盗み、そして千紗からもタオルを盗んだ。

 悪いやつだ。

 しかし、千紗のタオルを盗んで、得があるのだろうか。

 それが疑問だ。

 捕まえて問いた出さない限り、理由はわからないだろう。

 少なくとも、田久万よりは能力が上なので、捕らえることができるか不安だった。

 しかし、相手が時間を止めて、動いているやつがあやしいので、さがすのは簡単な気がした。

 田久万はあることを思った。

 千紗のタオルを盗る理由を考えると、好意を持っている人間しかありえなくなるのだ。

 そうなると、千紗の恋敵は二人いることになる。

 納得ができない。

 いつから千紗がそんなにモテるようになったか腑に落ちない。

 やはり、千紗の態度がこのところおかしかった。田久万にかまをかけて、告白させようとしているのではないか。