「今日、くるのかしら?」

 義母も沈黙をしていたが、待ちくたびれたはずだ。

「こないかもしれませんね」

 戸井田も父親がこないような気がした。

 そこにドアが開く音がした。

 戸井田は振り返った。見ると父親ではなく、青年だった。見た感じ二十代後半だ。

 もちろん知らない人だ。

 戸井田は義母を見るように座り直した。

「どーも……」

 と、義母は言った。

 青年は義母のところにはこないで、カウンターの席に座った。

 戸井田は義母の知り合いの青年かと思ったが、雰囲気で違うと思った。青年はこちらに全く見向きもしないからだ。義母の彼氏なら退散する予定だった。