田久万は何度も部屋から出ようと、試みた。

 ふすまが動かない。

 少しは動くが、人が出られるスペースなどない。

 もう一度、ふすまを開けた。

 ものすごい衝撃音がした。

 田久万が力いっぱい、ふすまを開けようとしていたので、時間が動き出した。

 ふすまは勢いよく開き、そのまま仕切りで止まり、衝突音が耳に響いた。

 誰も家にいなくて良かった。

 ふすまが壊せば親に叱られることになるからだ。

 そんなことより、千紗だ。

 今はどこにいる。

 田久万は携帯電話で千紗の番号にかけた。

 すぐに携帯電話からは電波の届かない場所か電源が切られています。と、言うメッセージが流れた。

 田久万は千紗が現在バイト中であると予想した。

 だが、千紗のバイト先は知らない。

 田久万はすぐに思いついた。