考えるだけでも、イラついてくる。

 詳しい年齢はわからないが、千紗との年の差を考えると、おっさんに取られると思うと、悔しさがこみ上げてくるのだ。

「ま、まだいたのですか?」

 誰もいない教室で、茂呂が田久万のことを心配して、戻ってきても、焼け石に水をやるのと同じだ。

「いちゃ、悪いか?」

「は、は、早く肺世さんに告らないと、ほ、他の男に取られちゃいますよ」

「だから、千紗は嫌いだってずっと言ってんだろう」

「ほ、本当ですか? そうは見えません」

「しつこいやつだな。気が散るから消えろ!」

 田久万が怒鳴ったので、茂呂は一目散に教室を出て行った。