昼食が終わり、教室には物好きな生徒たちが大勢集まった。

 その中に慶子はいなかった。もちろん草間といちゃついているのだろうと田久万は思った。

 ムカツク!

 千紗は自分の席でつっぷしていた。

「さあ、みなさんこれから千紗くんピンクのタオルの行方を教えます」

 大口は生徒たちから注目を浴びて満足なようだ。

 みんなの前で発表しないで、田久万の耳元だけで言ってくれればいいのにと、思うのだが、格好良いところをどうしても、玲に見せたいのだろう。

 茂呂の言っていたことが的中しているようで、慶子のことも当たっているのかもしれない。それだけに、早く大口のパフォーマンスを終了させたかった。

 大口を中心に田久万と向き合い、生徒たちは輪になって二人を囲んだ。

「言っておくけど、俺は盗ってないから」

 田久万は大口に釘をさした。

「千紗くん、寝てないで、こっちにきてくれないかな?」

 大口に指名されて、寝ているわけにもいかず、ゆっくりと起き上がって、歩いてきた。

「もう、いいよ」

 千紗もタオルくらいなくてもいいのだろう。大口の推理に興味はないようだ。