少しの間、2人が黙ったあと「犯人はあんたじゃなさそうか」と原田が呟いた。



 その言葉に市川は思わず「本気で疑っていたのかよ?!」と驚きと怒りを露にした。




「まぁ、疑うのが仕事ですからね。でもまぁ、これでようやく話を聞けそうだ」



 原田はそう言うなり「今日の夕方、お時間ありますか?」と言葉を続けた。



 市川は怪訝そうに眉間にしわを寄せて「任意同行ですか?」と少しかすれた声で言った。



 その間に取り出したタバコを口にくわえた原田は


「違います。メシでも食いながら・・個人的に話がしたいんです」


 と言って「この近所がいいですかね?」と確定したかのように言葉を続けた。


・・事件絡みで、個人的にねぇ・・・



 市川は不可思議に思いながらも、ここで断ったらおそらく任意同行を迫られるに違いないと思い、「えぇ、このアパートの下で待ち合わせましょう」と答えた。